PR

中学受験塾でクラス落ちする時の親の対応とは?子どもの将来を考える判断基準

塾講師の本音

親として知っておきたい「クラス落ち」判断の裏側

私が勤めているのは比較的規模の大きな進学塾で、小学5年生の受験コースだけで3クラス(各15~20名)あります。

私は現在、中位クラスと下位クラスを担当しています。そのため、生徒一人ひとりの学力や授業の理解度が、他の講師よりもよく見える立場にあります。

そんな中、ある男の子のクラス分けについて悩んだことがありました。
その子は国語の成績は悪くないものの、算数が苦手。いわゆる「文系タイプ」のお子さんです。

夏期講習前の振り分けのタイミングでは、成績的に下のクラスが妥当でしたが、本人が「中位クラスで頑張りたい」と強く希望したため、ひとまず中位クラスに残して講習会で様子を見ることになりました。

「努力しても結果が出ない」なら、環境を変える選択を

しかし、夏期講習が始まると、やはりその子だけ算数の授業にまったくついてこられない状態に。

授業後に自発的に質問に来るなど努力はしていたのですが、授業に追い付けないまま分からない箇所が積み重なり、さらに理解から遠のいていきました。

本来クラス移動は、定期テストの結果で決まります。ただ、このまま中位クラスに在籍し続けることはその子にとって負担になると思い、私は講習終了後、本人に「下のクラスに移ったほうが良いのではないか」と提案しました。

この判断は、決して「面倒が見られないから」ではなく、その子の学力・理解度に合った環境で丁寧に基礎から学ばせることが、今後の成長に繋がると判断したからです。
実際私が下位クラスも担当していたので、責任を持って担当する立場でもありました。

実際、5月に算数を理由に下位クラスへ移った生徒が、今では彼より上の点数を取っています。
下位クラスでは授業の進度を落とし、丁寧な解説を重視し、基礎の定着に努めているため、着実に理解が進むのです。

子どもが「クラス落ち」で涙…親はどう受け止めるべきか?

クラスダウン

その生徒は、話を聞いてしばらく悩んでいました。
そして後日、「下のクラスには行きたくない」と話し、ご自宅で泣いてしまったとも聞きました。

ここで、保護者の方であるあなたはどう対応するべきでしょうか?

講師に直接文句を言いますか?
「絶対にクラスを下げるな」と主張しますか?

あるいは「この塾は合っていない」と判断して、転塾を考えますか?

私は、受験の世界を甘く見てはいけないと思っています。
点数が取れなければ、クラスが下がる。これは公正なルールです。
私たちはそのルールの中で、限られた時間のなかでベストな指導をしなければなりません

たとえ奇跡的に志望校に合格できても、学力の地盤が整っていなければ、中学入学後の学習についていけず、学校生活そのものが苦しくなってしまう恐れがあります。

特に算数(数学)は、積み上げ型の教科です。
基礎が固まっていなければ、その先の応用にも太刀打ちできません。

クラスが下がった時こそ、子どもの成長の分岐点に

クラスが下がったときやテストの結果が振るわなかったときこそ、子どもは心に大きなショックを受けます。

しかし、その時にどんな言葉をかけ、どう対応するかが、保護者の方の大きな役割です。

「がっかりした」「なんで下がったの?」という言葉より、「新しい環境で、一つひとつ取り戻そう」「先生も応援してくれてるよ」という前向きな声かけが、子どものモチベーションになります。

実際、下位クラスから這い上がり、第一志望校に合格して、「最後に笑った」生徒を私はたくさん見てきました。

塾の中のクラス分けは、あくまでも通過点です。
塾内での序列や上下は、受験が終われば関係ありません。

大切なのは、そのクラスでどれだけ学べるか、どれだけ子どもが理解を深められるかです。
結果を出すためには、自分のレベルに合った環境で努力を重ねることが不可欠です。

今回の記事のまとめ

  • クラス落ちは、本人の学力に合った指導を受けさせるための前向きな選択。
  • 算数が苦手な子は、基礎をしっかり学べる環境が必要。
  • 親の対応次第で、「クラス落ち」は学び直しと成長のチャンスになる。
  • 結果を出すには、実力に合った環境での努力が不可欠。

お子さんの長い人生にとって、「今の所属クラス」は一時のこと。焦らず、子どもに合った最適な学びのステージを一緒に探していきましょう。

タイトルとURLをコピーしました