「先生、コイツをぶん殴って指導してください!」
お父さんは、一緒に連れ立ってきたアキラ君(仮名)を蔑んだ目で見つめながら、我々二人の担当の前で、アツい言葉を投げかけてきます。
アキラ君は、小5から入塾してきて、今は受験生。
とんでもない事件を起こしたわけではありません。
成績は何も分からなかった入塾当初からそれなりに順調に伸びてきて、最上位クラスではないものの、YTでは最上位のSコースに上がっています。
しかし、入塾当初からお父さんの目指す目標は“1番”です。
クラスで1番?・・・違います。
校舎で1番?・・・違います。
全ての受験生の中で、1番です。
そのプレッシャーのかけ方は半端ではありません。
いつもはクラスで元気なアキラ君は、お父さんの前では暗くうつむいているだけです。
お父さんに逆らう事は絶対に出来ません。
そうです。お父さんは、アキラ君の成績に大不満です。
「コイツは何をやってもダメなんです!」
「勉強のやり方がなってないんです!」
「何度言ってもダメなんです!」
我々担当の前で、これでもか、というくらいにさんざんに本人をけなします。
家でも何度も鉄拳制裁を加えて泣かせながら勉強させているようです。
我々も必死に、
と何度もフォローしても、
「とにかくダメです!」の一点張り。
と、提言すると、
「褒めるところなんて、何、ひ・と・つ、ありません!」
強烈なお父さんです。
確かにお父さんの対応だけを見ると、褒められたものではありません。
アキラ君が思春期に入ったら、それこそお父さんに反抗して、最悪、ナイフで刺すまでいくんじゃないかと思えるくらいのプレッシャーのかけ方です。(冗談だったらいいんですけどね・・・)
お母さんや、我々担当がフォローする必要がありますね (・・・・)
今時珍しい、まるで江戸や昭和の時代の頑固オヤジそのものという感じです。巨人の星の、星一徹みたい(苦笑)
担当として、正直対応も大変ですし、こんなお父さんのプレッシャー下にいるアキラ君の今後が心配です。
しかし、ふと思いましたが、”父性の復権”が叫ばれている今日、こんなお父さんは貴重な存在だな、と・・。
昨今は、子供にちょっとした不利益が生じただけで本部にクレームをあげるモンスターペアレントもいる中で、
このお父さんのように、本人がいる目の前で「先生、竹刀でぶったたいて構いませんから」ってハッキリ言い切れる親御さんが、どれだけいるでしょうか?
育て方や声のかけ方などは問題が多そうですが、「決して満足する事なく、常に貪欲に上を目指させる熱い姿勢」は、見習いたいものだと思いました。
PS.当塾では体罰は塾則で禁止されています・・
コメント
ホントですね・・・
ただ、お父さんもこちらが色々言う中で、少しはマシになってきた感じがします。求めるバーが少しずつ下がってきたので。
そのお父さん自身も恐らく同じようにひっぱたかれながら育てられたのでしょう。
ただ、子供はお父さんを変えることができません。
昔こんなお父さんが多かった時代も周囲の地域の支えがあって、子供達もまっとうに成長していったのでしょう。
アキラ君の支えになるように、地域の支えの一人としてサポートしてあげないといけないな、なんて思っています。
奈良のエリート学校の事件の二の舞になりませんように。