先日、こんなことがありました。過去問演習していた受験生の女の子。解いた過去問の点数が悪くて、いつまでもクヨクヨしているのです。
しかも、得意科目の国語だったので、なおさらだったのかもしれません。しかし、入試本番で終わったことをクヨクヨしても、何のいいこともありません。
「もし、1教科目の国語で手応えが悪かったとして、そのことをずっと悩み続けてどうするの?次の教科も全部悪くなっちゃうでしょ?」
「気持ちの切り替えって大切だよ。」そんな感じに諭しました。
話は1年前にさかのぼりますが、 バンクーバーオリンピックの男子フィギュアスケートにて、日本人史上初のメダル獲得をした高橋大輔選手。 今でもあらゆる機会に大活躍してますね。
オリンピック本番で、彼は最初の4回転ジャンプで転倒してしまったのです。
ご存知の通り、4回転ジャンプはかなり難しい技です。 成功すれば、高得点ですが、失敗する確率も大きいのです。
それ故、難易度が高く、一か八かのような技を敢えて本番で行うのは、かなり勇気のいることですよね。
しかも高橋選手はとても繊細な心の持ち主で、オリンピックに至るまでも様々な困難と苦悩があったといいます。
それでも、本番に4回転ジャンプを入れてきたのは、アスリートとしてのプライドと、果敢なチャレンジ精神があってのことでしょう。
そして、その大きなチャレンジを支えるために綿密な事前準備があったといいます。
本番前に、「あらゆる失敗を事前に想定して、対処法をシミュレーションしていた」というのです。
もし、ここで失敗しても、こうして行けば大丈夫。
この先のここで失敗しても、こうなるから大丈夫。
コーチと共に、本人が納得し、失敗した次のことまで考えておくことで、失敗した時に生じる焦りや不安をあらかじめ取り除いておいたわけです。
まるで、綱渡りの下に、網(セーフティネット)を張っておくようなものですね。
こうして”心のセーフティネット”を張っておくことで、最初の転倒があってもすぐに気持ちを切り替えることができました。
持ち前の表現力で立て直し、コンビネーションは2連続に変更。
その後の3回転ジャンプを次々に成功させました。
結果的に本番でやれるだけのベストを発揮して、転倒したのにメダル獲得が果たせたというわけです。
(ちなみに一ヶ月後の世界選手権では金メダルを獲り、日本人男子初の世界チャンピオンとなってましたね。)
もちろん受験では第一志望合格が一番いいです。
それが一番うれしい!
ただし、統計的にそれを体験できるのは受験生の4割満たないくらいだそうです。
有名校では、実質倍率で軽く3倍を超える中学受験。
我々講師も、どんなに優秀な生徒であったとしても、やっぱり発表を見るまでは、絶対大丈夫とは言いがたいのが中学受験。
緊張をほぐすためにも、心のセーフティネットを張って、精神的な安心感を与えてあげましょう。
特に 「絶対受かって来い!」と言うより、「ベストを尽くせ」 と言ったほうが、本人の本来の実力を発揮しやすい声掛けだと言われています。
首都圏受験まで、いよいよあと1週間。皆様の中学受験の成功を応援しております。