今回注目したのは、折れない心です。
■受験に克つために必要な「レジリエンス」
中学受験という関門に立ち向かう以上、多くのお子さんたちは、そのまま楽しい楽しい、だけで合格を勝ち取ることは簡単ではありません。
常に合格のために自らの学習能力を向上させていかないといけないわけです。
なかなかテストで良い点を取れずに落ち込んだり、講師や親御さんから叱られて、落ち込んだり、受験をやめたい、塾をやめたい、と思うことが1回や2回ではない、ということもあるでしょう。
そんなつらい思いや逆境が続くと耐え切れずに、あるいは失敗するのが嫌で、結局あきらめてしまったり、挑戦を避けたり、行動する(勉強する)ことを後回しにしてしまったりすることも少なくないでしょう。
世間では、いわゆる甘やかされて育った「現代っ子」たちは、このような抵抗力が特に弱い、とされています。
でも、周囲の適切なサポートや本人の精神的な成長によって、こういった困難に立ち向かって、挫折を乗り越えて、合格をつかんでいく子達もたくさんいるわけです。
受験をする子供たちに必要であり、育てていかないとならないのは、そんな困難でも負けない「忍耐力」「折れない心」「精神的な回復力」です。
心理学的用語でそのような逆境に立ち向かい克服し抵抗する力を「レジリエンス」と言います。
■レジリエンスを妨げるのは『ネガティブな感情』
逆境に立たされたとき、あるいはつらい思いになったとき、人は2つの道を選択します。
○ 目標に向かうことをあきらめる
○ あきらめずに挑戦し続ける
当然、後者の「挑戦し続ける」ことが大切なのですが、「挑戦し続ける」ことを妨げるのは、『ネガティブな感情』です。
嫌なことを感じたとき『ネガティブな感情』が出てくるのは人間として自然なことです。
ところが、この感情が増幅すると、考え方や行動もネガティブになり、前向きな行動が出来なくなってしまいます。
嫌なことや嫌な人から逃げて、努力を避けて自分の殻に閉じこもりがちになったりします。
結局、自分で自分を苦しめることになってしまいます。
レジリエンスを育てるには、この『ネガティブな感情』をどう処理すればよいか、ということになるわけです。
■レジリエンスを育てるには?
専門家である心理学者の感情コントロールのトレーニングによると、次の3段階で『ネガティブな感情』を処理し、この繰り返しによって、レジリエンスが育てられるとされています。
まずは、感情を共感
ネガティブな気持ちに満ちている時は、何を言っても無理ですよね。
つらい思いになったことを先ずは、本人に素直に受け止めてもらいましょう。
お子さんから話を聞いたときに、本人が感じた気持ちを決して否定せずに、素直に、
「そういう気持ちになるよね」
と共感してあげて、自分がつらい思いをしていることを客観的に受け止めさせることが必要です。
ネガティブ感情の解消
子供の気持ちは特に変わりやすいもの。
無理に言いくるめようとするよりも、早い段階で別の行動をさせると「気晴らし」になって、ネガティブな感情は解消されていくものです。
本人が好きなことをさせてみたり、特にスポーツなど身体を動かすことは、ストレス解消にもなって健康にも良いので、なお良いですね。
また、一度眠る事によって副交感神経が働き、ストレスは解消されるはずです。
気持ちが落ち着いた頃に改善策を提示
次の日や、ある程度時間が経ってから気持ちが落ち着いている時に、今後の改善策を提示します。
無理難題を押し付けるよりも、本人の気持ちを考慮して、本人が出来そうな「ほんの少しの努力」をさせることのほうが大切だと思います。
例えば、朝食前などの時間に、簡単な問題集を繰り返しやらせてみたり…
その際に、出来るだけサポートする体制を整えてあげることが大切です。
■中学受験は親子の受験
中学受験は、親子の受験といわれます。
もちろん、お子さんが受験するわけなので、本人が頑張らないといけないわけですが、まだまだ未熟な小学生。何でもスンナリ上手くいくわけではありません。
逆境は本人を成長させる良いキッカケだと捉え、必要なサポートをしながら子供たちに逆境を乗り越えさせて、逆境に負けない抵抗力(レジリエンス)を育てていきましょう。