受験本番を目前に、心の準備はできていますか?

ドラマ『受験の神様』の最終回、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
受験シーズンを描いたこのドラマは、親子で受験に挑む姿をリアルに描いており、共感できる場面も多かったですね。
入試本番、実際の会場はドラマとは違い、凍えるような寒さです。日差しも低く、緊張感が会場を包みます。
塾講師である私も、その朝は仕事の疲れを残したまま早起きして会場へ向かい、生徒の到着を待つのが恒例です。
生徒を迎えるときは、激励の言葉とともに固い握手を交わします。
「先生の握手で20点アップだぞ」と声をかけながら、心からのエールを送るのです。
そして、合格発表。
合格の知らせを聞いた瞬間の生徒や保護者の喜びは、講師としても涙が出そうなほど感動します。
この喜びのために、厳しい労働環境でも塾講師を続けていけるのかもしれません。
不合格…辛い結果にどう向き合えばいいのか
しかし、現実には、すべての受験生が合格するわけではありません。
ドラマの主人公「広」が不合格だったように、悲しい現実に直面することもあるのです。
もし我が子が不合格だったら?と考えると、親としては胸が苦しくなりますよね。
でも、塾の現場では、毎年のようにその場に立ち会ってきました。
そして正直に言えば、「なんと言葉をかけたらいいのか分からない」という気持ちになることもあります。
ドラマでは、先生の「この悔しさを絶対に忘れないこと」という言葉、
そしてお父さんの「全部忘れちまえ!」という言葉が印象的でした。
相反するようですが、どちらも正解だと思います。
不合格のショックが大きければ大きいほど、どんな言葉も届かない時間があるのです。
このとき大切なのは、焦らずその子の気持ちをただ受け止めることです。
まずは「泣いてもいい」という安心感を与えてあげるのも良いでしょう。

子どもより先に、大人が心の準備を
子どもがどれだけ頑張ってきたかを知っているからこそ、親も結果に一喜一憂してしまいがちです。
しかし、子どもに寄り添うためには、まず大人である私たちが気持ちの準備をしておく必要があります。
現実には、プライドが高く成績も良かった生徒が、東京受験をすべて失敗し、大きく落ち込んだケースもあります。
「受験パターンが甘かった」と反省することもありますが、本人がどれだけ涙を流しても、近くの大人が揺らいではいけません。
肝心なのは、「合格でも不合格でも、人生の通過点に過ぎない」と伝えてあげること。
受験はゴールではなくスタートです。この言葉を、心を込めて伝えましょう。
我が子が人生で初めて大きな壁にぶつかった瞬間かもしれません。
その壁をどう乗り越えるかで、今後の成長が大きく変わります。
だからこそ、親子でしっかりこの経験に向き合うことが大切なのです。
目先の合否以上に大切な「その後のフォロー」

不合格が続くと、子どもは一時的に自信を失います。
でも、大人が信じてあげることで、「またがんばってみようかな」と思える日は必ずやってきます。
そのためにも、言葉ではなく「態度」で安心感を与えてください。
「失敗しても、あなたは大切だよ」というメッセージを、毎日のなかで伝えてあげてください。
塾講師も、合格の喜びばかりではありません。
むしろ、不合格の生徒たちの涙を忘れず、毎年その想いを胸に、新たな生徒に向き合っているのです。
私たちが心から願うのは、「この受験を通して、親子で乗り越える力を得てほしい」ということ。
結果よりも、その先にある成長や絆を大切にしてほしいと思っています。
今回の記事のまとめ
- 受験本番では、親も子もしっかりと心の準備をすることが大切
- 不合格だった場合の言葉かけは非常に難しく、まずは受け止める姿勢が重要
- 子どもより先に、大人が「これも人生の通過点」と受け入れることが必要
- 合否以上に、「その後のフォロー」と「子どもの自己肯定感の回復」を大切にする

中学受験は単なる通過点。 この経験が、子どもたちの将来を豊かにする価値あるステップとなることを願っています。