(前編はコチラ)
いまだギプスが外せないまま挑んだ、2月の本命A中学校の入学試験。
A中対策ゼミの先生からも、十分合格を取れる実力がある、と太鼓判を押されていたP君。
とにかくやれるだけのことはやりました。
でも、あんまり出来たという実感が持てません。
お母さんも不安の中、合格発表を二人で観にいきました。
発表会場では、
「あった、あったよ~!!」
「ヤッター!合格した~!!」
そんな歓喜の声があちこちで聞こえてきます。
P君もお母さんも、ドキドキしながら発表掲示板をのぞきこみました。
(これだけA中に向けて頑張ってきたんだ。)
(直前で大きなアクシデントに見舞われながらも、くじけずに頑張ってきたんだ・・)
(きっと、合格しているはず・・)
………
しかし、残念ながら、P君の番号はなかったのです。
青ざめた顔で立ち尽くすP君。
P君の頑張りを間近で見てきたお母さんの目から自然と涙が溢れます。
周囲の歓声が、今やその場にはいられない、嫌な雑音に変わります。
「帰ろう、お母さん・・」
P君とお母さんは、トボトボとA中を去りました。
2日のB中学、3日のC中学の受験はA中よりも偏差値の高い難関校。
特にC中なんて、P君がほとんど届いた事のない偏差値・・。憧れで、と思われても仕方ない出願・・
公立中学進学を覚悟しました。
しかし、残された機会をあきらめて棒に振っても仕方ありません。
A中ほど対策をしていないけれど、悔しさをバネに臨んだ2日のB中の試験。
高倍率で平均点も高く、本当に実力が試される試験でした。
講師陣には悪いニュースが先に入りました。
同じ受験パターンだった、最上位クラスのN君はA中は合格だったけど、B中は不合格でした。
やっぱりB中は難しい・・・
そして、P君のお母さんから連絡が入りました。
「先生、受かってましたぁ・・」
二番手クラスだったP君は、B中にみごと合格したのです!!
我々担当も、本当に胸をなでおろしました。
お母さんも、うれし涙を流しました。
やっぱり、受験結果はどうなるか分からないですね・・
この話には、もう一つおまけがあります。
3日のC中の受験。
だれもが、2日B中学の合格で満足しており、正直、3日の難関C中学合格は難しいだろうと思っていました。
しかし、P君本人は違ったのでしょうね。
傷を負った、幼き勇者は、最後までベストを尽くしました。
なんと、C中学も合格だったのです!!
我々も、お母さんも驚きました。
P君は最後に、また底力を見せてくれたのです。
………
受験後、まだ包帯が残ったまま挨拶にきたP君。
第一志望校には合格できなかったP君は、心から満足しているわけではありません。
それでも、気持ちを整理して新たな学校生活への希望を見出しています。
そして、つらかった中学受験が終わったばかりにも関わらず、決意を込めた声で言いました。
「先生、今度は大学受験で頑張るよ。」
この数日で、何だかP君が大きく成長したように感じました。
後輩に知らせたい、皆さんの合格体験記もお待ちしております。
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