A君は最難関のK中が第一志望校でした。
B君の第一志望校は別の学校です。
二人は友人であると同時に、上位を争う良きライバル関係でした。
どちらも優秀生ではありましたが、才能においてはA君の方が一枚上手、という感じでした。
A君はかなりの優秀生だったので、K中の合格もかなり期待できました。
でも、切羽詰まらないとなかなかやらないタイプでもありました。
A君と違い、B君は常日頃からコツコツと努力をして実力を磨くタイプでした。
中学入試が始まりました。
B君は早々に第一志望校の合格を決めました。
せっかく勉強してきたので、対策は中途半端だったけれども、不合格であっても構わない、というチャレンジ精神で、B君も一緒にA君の第一志望校であるK中を受験することになりました。
K中の入試結果。
A君 ×
B君 ○
何とも皮肉な結果が出てしまいました。
B君は、最初は喜んでいました。
でも、後日、その喜びは消えていました。
なぜなら、友人であるA君が第一志望校のK中が不合格であったことを知ったからです。
B君は、
「A君のことを思うと、素直に喜べないし、残念だった人の分も頑張れるようになりたい」
と言っていました。
B君は受験を通して、きちんと人の気持ちも分かる人間に成長していたようです。
残念だったA君はA君で、
「理科があまり手応えがなかったので、それが原因だと思う」
と冷静に反省していました。
私は講師の立場から、
「よく頑張ったけど、これで勉強が終わりじゃないってことを教わったと思えばいいよね。
大学受験もすることになるだろうから、先の目標を見つけて、また頑張っていくといい。」
そんな話をすると、A君は明るく
「はい!」
と返事をしてくれました。
誰もが望んだ結果をなかなか与えてはくれない中学受験ですが、彼らにはまだまだ明るい未来が待っているはずです。
受験を通して様々な気持ちを感じたことでしょう。
つらい努力をし、プレッシャーをたくさん感じて、本当にきつかったと思います。
それらを乗り越えたと言うことは、結果はどうあれ、人間的にも大きく成長したのではないでしょうか?
中学受験を頑張った全ての皆さんに拍手を送りたいですね。