先日、6年生の娘(Aさん)を持つお母さんから、相談を受けました。
9月から難関対策講座に通い始めた。
授業に参加してみたら難しくてついていけなくて、周りから完全に遅れをとっているような気持ちになって本人がとても不安定になっている。
家で泣き出したり、いつもお母さんの周りをついてまわったり・・。
そんな娘の様子を見かねて、心配になり、相談にこられたというわけです。
Aさんはもともと他の子と比べてそんなに集中力があるほうではなく、特に5年生の頃は 授業中もよく注意されていました。
宿題もきちんとできずに手を抜いてしまって、成績も落ち気味でした。
しかし、6年生になってからは 彼女なりに頑張っている様子は伺えました。
秋になり、入試まであと5ヶ月ということで、塾でもかなりプレッシャーをかけられています。
やるべき宿題も多くなって、ただでさえ精神的にも実際の生活でもアップアップになってしまっている中で、難関講座に参加して、劣等感を感じてしまったのでしょう。
家では、お母さんも心配のあまり、
「もう、受験やめる?」
という話にまでなったようです。
私はお母さんの話を伺いながら、最近の授業の様子やAさんが頑張っていることなどを伝えました。
そして、今年の2月のバレンタインデーの時に、Aさんが私宛に書いてくれた手紙を見せました。
その時チョコレートがなかったので、手紙を書いてくれたようです(苦笑)
手紙といっても、メモ用紙1枚に たどたどしい字で書いてくれた10行ほどの文章です。
「真喜志先生、いろいろとありがとうございました。
受験までまだ期間があるので、これからもよろしくお願いします。 家の環境がかわり、勉強部屋もできました。
これからは、心を入れかえてがんばります。・・・」
そこには今まで私に見せたことのなかった、彼女なりの勉強に対する決意が書いてありました。
私はそのたどたどしい文章に心意気を感じ、大事にメモ用紙を取っておいたのです。
(食べてなくなってしまうチョコよりも貴重かも知れませんね。)
お母さんにその手紙を見せた後、娘さんのことを褒めて、「大丈夫ですよ」と話しました。
お母さんは、手紙を見つめて苦笑しながら、涙を流されていました。
その日、Aさんを呼び出して話を聞いてあげました。
短い時間でしたが、事情を聞いてあげ、他の子達も苦労している様子を伝えてあげたり、励ましてあげると、すっかり満面の笑顔で帰っていきました。
まだまだ小学生ですから、心も不安定です。
最初から完璧を求めようとしても無理です。
しかし、周りの友達や大人たちの関わりの中の ちょっとした支えで、気持ちの持ち方は前向きに変わります。
そして、右往左往しながらも成長していくのでしょう。
これからの時期、精神的に不安定になってしまう子は、これからもたくさん出てくると思います。
でも、それは当り前のことと思ってください。
お子さんを責めてばかりいても仕方ありません。
受験をするのは飽くまでもお子さんです。
受験勉強をすることは、大変つらいことです。
その苦労を理解してあげつつ、本人が持つ力を最大限発揮できるように、しっかりとサポートしていけば、お子さんは順調な成長を遂げる事ができるはずです。