■息子のため?それともプライド?
保護者の皆さんや第三者の方と、現場を担当する塾講師の認識にズレがあると思うことがあります。
『上のクラスにいれば、成績が上がるはず』
と短絡的に考えるのは、大きな過ちです。 確かに塾選びの本などを読むと、できるだけ上位クラスに入れた方が良い、的なことが書いてあったりしますが、現場を担当するものとして、全くそうは思いません。
集団塾のクラス分けの利点は、習熟度別の適性クラスで学習することです。 以前の校舎でこんな例がありました。
J君は、特別待遇の子でした。 お母さんは、かなりのクレーマ-(-.-;)で、下位クラスだと面倒見が悪いと思い込んでいました。 それゆえ、
「クラスを下げるなら、塾辞めます」
というのです。
経営を考える教室長はJ君のお母さんの言葉に押され、現場担当の意見を聞きません。 担当が何と言おうと、J君は上位クラスに残留です。
しかし、残念ながらJ君は、その時点で、とても上位クラスについて来れるような学力ではありませんでした。
■浮いたJ君
集団塾にとって、クラス移動があるのは、頑張れば上位クラスでより高度が学習ができる。 逆に手を抜いて、頑張らないでいると、下位基礎クラスに落ちる。 そういった、緊張感が受験という厳しい壁に向かうための前訓練となります。
しかし、J君はお母さんの強力なバックアップにより、クラスダウンすることはありません。
J君は上位クラスの家庭学習をこなし切れていません。 クラス分けのテストでも点数が取れません。 それでも、常に上位応用クラスの授業を受け続けます。
その結果、どうなったか?
担当としても、集団授業なので、J君だけに合わせて上げられません。決められた応用カリキュラムをこなす必要があります。
J君も頑張っていないわけではありませんが、適性レベルの授業でないので、ついてこれないのです。 本来ならば、しっかりと基礎を繰り返して、基礎の実力を定着させるのが再優先なのですが・・・
J君は消化不良に陥り、ますます成績は低迷するばかり…
■中学受験は厳しい競争
受験は、競争です。 難しい入試問題を出題して来るのは学校で、塾ではその入試問題をクリアするためにサポートするシステムを築いています。
しかし、最終的には塾の在籍クラスが大きな問題ではなく、結局は各ご家庭の志望校に合格するために各自がどう頑張るかにかかってきます。
上位クラスからでも、高倍率の受験ですから、厳しい結果になることは多いです。 下位クラスからでも、それぞれの志望校に向けて良い結果を残していくご家庭はたくさんあります。
さらには例年、上位クラスにギリギリいた生徒の入試結果より、一つ下のクラスの上位生の方が良い結果を出すことも多くあります。 入試問題で合格点に届かなければ、いくら学校に文句を言っても合格にはしてもらえないでしょう。
集団塾では、適性のクラスで学習することがその子にとって最善であるという当たり前の考えの元にクラス替えを行います。
点数が落ちて、クラスダウンするのが嫌ならば、最初から集団塾ではなく、個別指導に行った方が良いと思います。 たとえ、クラスダウンしても、それをバネにして一生懸命頑張って、入試で良い結果を残した生徒をたくさん見てきました。
J君はクラスで浮きつづけ、上位クラスだからと成績以上の高い志望校を受験し、結局良い受験結果は残せませんでした。
たとえ、クラスダウンという浮き目にあったとしても、目先のクラスにこだわるのではなく、先の入試を見据え、本人と担当と良く話し合いながら、今やるべき課題をこなして乗り越えていきましょう。
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