Q.
「内なる能力」のような響きですねぇ…
同僚のベテラン国語講師が分かりやすい説明をしてくれました。
その話を紹介しておきます。
過去の筑波大駒場の入試問題の国語で、以下のような問題が出題されたことがありました。
(正確な引用ではありませんので、ご了承ください)
*******************
『夕焼け小焼けの 赤とんぼ おわれてみたのは いつの日か
山の畑の 桑の実を 小籠に摘んだは まぼろしか ・・・』
[問] 詩を読んで、『おわれて』を最も適切な漢字で書きなさい。
*******************
この問題を読んだ多くの子供達は、一度は童謡で習ったことがある
「赤とんぼの歌」からの出題であることを知るでしょう。
ただし、小学生低学年の頃 習うはずですから、その時の音楽の教科書には、
おそらく「おわれて」はひらがなで書かれているんじゃないかと思います。
小学生低学年の頃、「おわれて」というのはどういう意味なのかを考えたことのある子供は、
果たしてどれくらいいるでしょうか?
多くの子は、単純に”赤とんぼを追い回す”イメージから、
「おわれて」⇒「追われて」と解答したに違いありません。
しかし、正解は「負われて」です。
この詩の1番・2番は、作者の幼い頃の回想を語ったものです。
「おわれて」は、子守をしてくれた姉(恐らく3番で十五歳で嫁に行った姐や)の背中に
「背負われて、見た」の「負われて」だったんですね。
・・しかし、はっきり言ってこの問題、正解を知らない子が、
「内なる発想力」で正解を導き出せる問題でしょうか・・?
その同僚国語講師も言っていましたが、子供が発想して出てくるような解答ではありません。
どう考えても、「おわれて」という歌詞の一部分について気になって
「考えた経験があるか、ないか」を問う問題ですよね。
ちなみに私自身が、この問題を初めて聞いた時、答えられました。
(大人になった、今ですけど(苦笑))
どこでその”知識”を得たかというと、たしかクイズ番組で同じ問題が出たことがあり、
そこで考えた経験があったからだったと思います。
テレビのクイズ番組も、あなどれませんね。
やっぱり、「発想力」って「考えた経験」の積み重ねによって培われるものなんだと思います。
算数も同じですが。
結局、中学受験で求められる生徒像が、
”色んなことに関心を持って考える経験を積んでいる子”なんでしょうね。
机の上だけが、勉強の場ではありません。
日常生活の中から、色んなことに関心を持つ子供を育てるためにも、
私たち大人が色んなことに関心を持って、お子さん達に投げ掛けてあげましょう!
消える学力、消えない学力 算数で一生消えない論理思考力を育てる方法 (ディスカヴァー携書) 田中 保成 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008-08-18 売り上げランキング : 15326 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る |