担当している5年生の一人に、テレビアニメの『BLEACH(ブリーチ)』が、大好きな生徒がいます。
あらゆる登場人物の名前、護廷十三隊の隊長と副隊長の名前から、それぞれが所持している武器の名前や敵の名前まで、100種近くを覚えているようです。
(時々、私にその知識をひけらかしてくるので困っています(苦笑))
それは脳科学によると、脳細胞の中にある、A10神経と呼ばれる脳神経が興味の対象を記憶することによって、
ドーパミンという脳細胞を喜ばせるホルモンを分泌するからだそうです。
社会の講師が言った地名が、たまたまBLEACHで出てきた単語らしく、その生徒は目を輝かせていたとか。
興味関心を持って行なった記憶が喜びにつながり、「更なる記憶の欲求」を生むわけですね。
子供のうちは、この脳神経が活性しやすい状態であるといえます。
しかし、すべての子供が脳神経が活性化しているかというとそうではありません。
意欲や関心がないままに、無理やり、仕方なく勉強させることが続くと脳神経は活性化されません。
こんな動物実験がありました。
何もない部屋に子供のネズミを入れて、親も仲間も、遊び道具も一切を与えず、えさだけを与えて放って起きます。 この状態では当然ですが、脳神経は活性化しません。
それだけなら驚くことではないのですが、さらにわかったことがありました。
このような刺激のない環境で育ってしまった子ネズミは、後とから刺激のある環境に移し変えても、 そのまま何に対しても興味・関心が持てない大人ネズミになってしまった、というのです。
つまり、子供のうちに脳神経を刺激してこなかったために、脳神経が退化してしまったということです。
これは昔実際に起こった、オオカミに育てられた少女の研究を思い出しますね。
幼きころに捨てられて、オオカミに育てられた少女が発見されて、人間界に戻ってきましたが、人間の生活に適応できないままに死んでしまったというのです。
幼きころの教育の大切さを物語っています。
さて、脳を活性化させるためにも「頭の中でいろいろと考えて、調べて、行動すること」がとても大切です。
ならば、幼いうちにそれを興味のある分野から徹底的にさせてみてはいかがでしょうか?
たとえば、BLEACHなどのテレビを観て、「あぁ面白かった」で終わらせるのではなく、徹底的にキャラクターを研究させてみましょう。
カテゴリ別に分け、登場回数や順番で並べてみるなど、分類からはじめます。
「そんな作業は勉強には関係ない」
と思うかもしれませんが、それは大人の狭い価値観かもしれません。
漢字の部首を見分けることや、図形を区別するなど、学習の基本に「分類」があります。
また、どのようにしてそのアニメやゲームが生まれたのか、原作者やデザイナーなど調べることは、 社会や理科を始め、「ルーツを調べ、時系列的、理論的に理解する」ことにつながります。
どうせなら「単なる遊び」で終わらせるのではなく、「研究」の対象としてあげれば、その経験は、「勉強のやり方」の土台となるだけではなく、 「目的を持ってプロジェクトを立ち上げ、それを成し遂げる喜び」という将来設計においても大きな経験となることでしょう。
大人側としては、できるだけ「興味関心を引き出して」学ばせるように工夫していきたいですね。
ちなみに、BLEACH好きのその生徒は、いつも学年でトップクラスです。