『ドラゴン桜』 昨年ドラマにもなり、有名になりました。
偏差値30台だった高校生が、めきめきと成績を上げて東大受験をする話です。
ご存知の方も多いかと思います。
原作マンガのなかで、こんなシーンがあります。
「東大受験直前期、家族はどう接すべきか」 桜木先生は、東大受験生の親に、こう質問します。
「ご両親は、お子さんに東大に合格して欲しいですか?」
当然、ご両親は答えます。
「そんなこと、当然じゃないですか。親なら誰でも願ってますよ」
しかし、桜木先生は返答します。
「子供を東大に合格させる親は、決して『合格して欲しい』とは思っていません。」
「ウソではありません。本気でそう思っているのです。」
ご両親は困惑します。
「では、東大に合格させる親は、先ほどの質問にはどう答えるのか?」
「『受かっても、落ちても、どっちでもいい』です。
子供に対して無関心で冷たい親のように見えますが、そうではありません。子供のためを考えてこそ、『どっちでもいい』のです。」
お母さんは反論します。
「そんな、どっちでもいいなんて、親として無責任よ。そんな話、信じられないわ」
お父さんは冷静に桜木先生に尋ねます。
「では、なぜどっちでもいいと思うことが子供のためだと?」
桜木先生は厳しい言葉を交えて答えます。
「それは、合格か不合格かという結果だけにこだわって子供を見ていないからです。 本心では、早く受験が終わってほしい。この緊張感から解放されたい。子供の心配をしなくてもいい生活に一日も早く戻りたい。
・・・そう考えている。
結果だけを求める親は、本当は自分のことしか考えていないのです。」
「結果だけを求めるというのは、いわば険しい道を歩いている子供の背中に親がのしかかっている状態。わがままを言っているだけに過ぎません。」
「確かに子供の成功を願うのは子供を愛している親なら当然ですが、『絶対合格しなければ、この子はダメになる』と思うのはよくありません。」
「はやる気持ちを押し殺して結果を求めず、努力している事、頑張っている事、それだけに目を向けるのです。」
さて、どう思われましたか?
東大受験と中学受験は異なりますので、賛否両論あるかもしれません。
ましてや、マンガの中の話ですし。
塾講師の立場でこんな事を本音で思っていたとしても、保護者の方にそうやすやすと話せる事ではありません。
単に講師が言い訳しているだけじゃないの。結果を出してよ、と言われるかもしれませんからね。
しかし、私自身は色んな家族のケースを見てきました経験上、この桜木先生が言っていることは、大筋は正しいと思っています。
今の社会ではなんだかんだ言って、結果しか見ません。我々塾講師も、結果でしか評価されません。 中学校も、お子さんを結果だけで判断します。
「努力が大事」なんて聞こえのいい言葉もありますが、世間のアカの他人はいちいち途中の努力や頑張りまで見ていられないのです。
そんな世の中で、誰がお子さんの努力を認めてあげられるのでしょう。
我々講師が受験後の不合格だった生徒にそのような言葉をかけることは当然しておりますが、最終的には親御さんしかいないはずです。
いや、親御さんに、たとえどんな結果が出たとしても、努力を認めてあげて欲しいのです。
現場で見ていると、親御さん以上にお子さんの努力がよく見えてきたりしますので。
子供の頑張りは決して無駄にはならない。将来必ず何らかの形で実を結ぶはずだと固く信じることが大事です。
親が本気でそう思っていれば、子供も親を信頼します。
その結果、受験生の心も安定し、家庭の雰囲気も安定し、落ち着きます。
家庭が落ち着いていれば、受験生も100%の力を出し切れるでしょう。
さて、我々塾講師はどう思っているか?
「合格して欲しいに決まっている」じゃないですか!
中学受験に克っていきましょう。 心から応援しています。
コメント
alan_smithee さんwrote:
「これまで子どもを自殺で亡くした何人の親から聞いただろう。
『働けなくたって、何もしなくたって、そんな人間が一人くらい生きていてもいいじゃないか』と。
しかし、子どもにそれを許していなかったのは、ほかでもない、その親自身である。 」
何だかとっても深い話ですね。
コメントありがとうございます。
この言葉をよんで「100%正論だ」と思いました。逆説的ですが、親が子供に多くのことを要求すればするほど、子供にとてプレッシャーになって親子関係が悪化するのだと思います。しかし現実的には、親ほど子供に結果を求める存在も無いのではないでしょうか?受験だけでなく、就職しかり、結婚しかり、こうした局面で最も厳しく結果を求めているのは他ならぬ親ではないでしょうか?
雨宮処凛氏の言葉にこういうのがありましたが、ある意味死んでからやっと親の期待から自由になれるのであって元気に生きているうちは親の期待から逃れられることはないのでしょう。結婚にしても出産にしても。
これまで子どもを自殺で亡くした何人の親から聞いただろう。
「働けなくたって、何もしなくたって、そんな人間が一人くらい生きていてもいいじゃないか」と。
しかし、子どもにそれを許していなかったのは、ほかでもない、その親自身である。
死んでからやっと気づくのだ。役に立たなくても、働かなくても、ただ生きていてくれればよかったのだと。
(雨宮処凛『生きさせろ!』)