『成績至上主義』 『学力偏差値至上主義』
合格させることが至上命題の進学塾は、どうしてもそうなりがちです。
また、その業界で働く講師はもちろん、通わせる親御さんも、そして子供たちも、 『成績至上主義』に傾いていくのは、合格を目標にする限り、仕方のないことなのかもしれません。
しかし、特に中学受験の場合は精神的に未熟な小学生が主役です。
「成績が良ければ、何をしてもいい」
「成績が悪い人は、けなされて当たりまえ」
過度な成績至上主義は、「人として」誤った価値観や行動を芽生えさせてしまう危険性もはらんでいます。
幼い小学生を相手にしている塾現場ですから、学校と同様に当然不条理な問題が出てきてしまうことはあります。
嘘から始まり、カンニング、窃盗、仲間はずれ、そして、いじめ…
学校で当たり前の問題も、やっぱり塾でも起こってしまうものです。
成績の良い子でも、影で嘘をつく子、言うことをきかない子、カンニングする子… やっぱりいます。
「A君に教えると、A君の成績が上がっちゃうから教えない」
なんて、意地悪する子もいます。
学力偏差値が高くても、人としての偏差値が低い、と言えるかもしれません。
逆に成績がそんなに良くなくても、健気にベストを付くし、友達のために協力してくれたり、応援してくれるような子もいます。
人としての偏差値が高い子ですよね。
こういった「人としての偏差値」は、受験後の人生に影響してくるのでは、と感じます。
受験が終わった後、もう塾のクラスメイトとは会わない、という子も多いと思います。
でも受かった子も残念だった子もいた中で、みんな進路はそれぞれなのに、中学生になっても仲良くしている子たちもいます。
単に受験だけで終わった関係ではなくて、一緒に困難な受験を乗り越えた戦友として、仲間として、それぞれの事情を気遣いながら、 笑顔で楽しくその後の進路で活躍しているのです。
そんな報告を聞くと、少しうれしいですね。
「人としての偏差値」といえる道徳的価値観の育成は、家庭や学校の教育が担うのが本来の形です。
進学塾は「学力偏差値」だけを期待されますし、それが仕事なのですが、 やっぱり塾も「教育現場」なんですよね。
未成熟な子供は、身近な大人や環境から影響を受けてしまうのですから、 「教育者」として、「大人」として、間違った事を伝えたくはないと考えるのです。
塾講師ごときが こんなこと言うのもなんですが、
どうせなら、 「学力偏差値」も「人としての偏差値」も、 両方上げていきたいなぁ、と思います。
これからも日々苦悩しながら仕事していきます(^_^;)