夏期講習会が終わりました。
5年生にとっては、これから各科目どれも難度が上がってくる重要な時期。
そして、6年生にとっては いよいよ受験が現実的に迫ってくる秋を迎えます。
最近とある中学受験情報誌上で、『中学受験BIBLE』や『受験手帳』などの著書で有名な弁護士の荘司雅彦氏による 【大手塾に気軽にお願い事をする法】という記事を読みました。
荘司氏の娘さんは、お父さん自身からの直接指導も受け、御三家中学に合格したので、立役者のお父さんである荘司氏は、親御さん達からの支持も厚いようですね。
お願いをされる立場の講師として複雑な気持ちで読んでみたわけです(苦笑)
興味深い内容がありましたので、納得できたものを、現場講師である私のコメントつきで、ここに紹介しておきます。
■■ いいにくい相談事をサラリと通す方法 ■■
1. 仮説を立てて交渉に臨む
荘司氏:「『どうして子供の成績が下がったのか、と問い掛けるよりも、自分は下がった理由をこう考えるが、先生はどう思いますか?』 と切り込むほうが答えやすいだろう。それに、塾と家庭 両方の情報を持ち寄って話し合うから、相談する意味があるのである。
・・・まず、頭をクールにして情報整理。模試当日の様子はどうだったかとか、親なら思い当たる事はたくさんあるでしょう。 ・・こんな情報が一つでもあれば、講師の対応は格段に違ってきます。」
コメント:その通りです。講師としても家庭での様子などが聞けると、塾での様子と合わせて判断できます。
2. 些細な疑問は日頃から小出しに
荘司氏:「感情的になってキレる人。一方的に要望だけをまくし立てる人。
お母さんに意外と多いんですが、そんな姿勢で話し合いは無理。交渉以前の問題ですね。」
大噴火に至らないように、普段から担当講師と世間話でもいいから話をする習慣をつける。 とはいっても、相手は何十人もの生徒を受け持つ忙しい身。なかなか時間を割いてくれないだろう。
「授業が終わった後の、お迎えの時がチャンスです。夜も遅いし、迎えに来た他の親も疲れていて早く帰りたいので、講師の取り合いにもなりにくい。 2、3分の立ち話をするには持ってこいの状況です。相談や要望などもこのタイミングでさらりと伝えるのが理想的ですね。」
コメント:荘司氏、なかなか鋭いです(笑)。
塾の現場の仕事は、無限に沸いてくるくらい、色々とあり、その処理に追われがちになります。
私もできるだけ知っているお母さんと顔を合わせたら声をかけるようにしているのですが、 やることが一杯詰まっていると、挨拶程度に終わってしまう事も多いですね。
でも、「最近、うちの子どうですかねぇ」などと気軽に声をかけてくれるお母さんもいます。
講師としても、ご家庭の様子やお母さんの気持ちなどを知ることは指導にメリットがあることですので、 話し出すと色々とお子さんの事を、より深く意識する事ができますし、長時間でなければ全然負担ではありません。
あるお母さんは、私が忙しいだろうと思って、手紙を書いてくれました。 さすがにそこまでこちらの気を遣ってくれるお母さんは少ないですので、どうしてもお子さんのことを深く意識してしまうものです。
普段からの小さなコミュニケーション、講師側としても、大切にしたいですね。
3.子供と講師の信頼関係を崩さない
荘司氏:「もし、交渉が物別れになったとしても、決してその講師のグチなどは子供に言わないでください。 子供と講師の信頼関係を壊さないことが、親の最重要責任です。 特に小学生くらいであれば、『塾の先生が好きだから』というのがモチベーションになりやすい。 逆に子供が講師を信頼しなくなると、教わった事を全く吸収しなくなる。
私はかつて娘の勉強をみているとき、講師の間違いを発見しました。 しかしそれを指摘しても、娘が『でも先生がこう言ってたよ』といえば、『じゃあ、先生が正しい』と。 餅は餅屋、なのです。交渉事も基本的にはこのスタンスを貫いたほうが、最終的にはいい方向に転がります。」
コメント: 信頼関係が崩れて、指導効果が薄れてしまう事は往々にしてある事です。 しかし、講師側としては、普段から信頼に足る対応、指導をしないといけないと思っています。自戒の意味も込めて。
ただ、講師も大人数を見ていますし、どんなに優秀といわれる講師も完全ではありません。
我々の業界では、「どんなに経験を経ても、常に一流をめざしている講師が、本当の一流の講師である」 といわれているくらい、完璧と呼べる世界ではありません。
人間ですから、当り前ですけど。
ただ忘れてはいけないのは、中学受験の主役は、あくまでもお子さんです。
私達大人が協力して、上手にバックアップしてあげたいですね。
コメント
良い環境に恵まれてよかったですね!
通常、塾側の事情もあり、全てのお子さんに最適の環境を提供することができないことが多いものです。
それでも多くの塾や先生達は、できるだけベストを尽くしている事と思いますよ。
私も雑誌などで「塾との上手な付き合い方」系の記事はついつい真剣に読んでしまいます。
先日塾の懇談で、先生に
「娘さんには少し授業内容が物足りないと思い、申し訳なく思っています。例年3期から受験する子を分けてクラスを3つにするのですが、今年は試験的に2期から分けようとは思っているのです。ただ、人数調整もありますので、アンケートなどをとってみて検討する必要はあるので、確約はできないのですが・・・」
と言われました。
娘が、大好きな先生と離れたくないということでYTクラスを取らなかったので、今のクラスは受験しない子もいるため、どうしても内容が受験用よりはスローペースになるのです。
もう少し応用問題を中心にやって欲しいと言うことは娘も言っており、私も
「そうだね、少しだけでも応用やってもらえるといいね。」
と言っていたのです。
けれど、先生からそういったことを言われたときに、
「とんでもないです!こちらはそれを承知であえてYTを選ばなかったのですから、気になさらないで下さい。その分、先生には自習室で教えていただけるので、ありがたいと思っています。」
と、いったん引きながら、
「確かに娘は応用問題をもう少しやって欲しいということは言っていますが、」
とさりげなくアピールしつつ、
「そこは自分で頑張ってわからないところは先生に自習室で教えてもらいなさいといっています。」
と、言いました。
そして、今日から2期ゼミが始まりましたが、なんとアンケートをとることもなく、クラスは3つに。成績順に上から分けられ、一番上のクラスは少人数で内容も今までに比べるとかなり高度になり、緊張感のあるとても良い授業だったようで、娘もとても喜んでますますやる気が出てきたようでした。
先生に娘がとても喜んでいたことを伝えると、
「これからは常にこういったスタイルでやっていくので、安心して下さい。」
と言われました。
もちろんうちの意見だけが反映されたわけではないと思うのですが、嬉しかったです。
塾と保護者がお互いプラスプラスの関係になり、子どもをバックアップしていけるとよいですよね。