努力をしている人に対して、「頑張って」と応援したい気持ちになるのは、人として素直な気持ちだと思います。
運動会やスポーツ観戦では声を上げて応援しますし、身近な人でも努力している人には「頑張れ!」と声を掛けます。
そのことに、特に疑いはありませんでした。
ところが、中部震災の頃に被災者の方が気持ちを語った番組がありまして、その内容がとても印象的で心に残ったのです。
それはその方が避難生活から、次の新しい生活に向かおうとしている時のことでした。しきりに被災者に向けて、
『頑張ってください』という声が、よく聞こえてきたのだそうです。
ところが、その被災者ご本人にとって、その『頑張って』という言葉が、とても苦痛だった、というのです。
これ以上頑張れないくらい、苦労しているのに、そんな時に『頑張って』と言われると、突き放されたような気持ちになる、というのです。
確かにそうかもしれません。言い方や相手との距離感にもよるかもしれませんが、本当に精神的に疲弊しているときは、素直に受け取ることは困難になるのだと思います。
『頑張って』という言葉をかけるのは、やっぱりTPOに気をつけないといけないなぁ・・ と考えを改める大きなキッカケになったのです。
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今回の震災の被災者の方々に対してもTVでもラジオでも『頑張って』という声がたくさん流れています。
でも、被災者の方々全てとは言いませんが、その『頑張って』を、複雑な心境で聞かれている方もいるかも知れません。
また、うつ病の人などに『頑張って』は禁句だそうです。最悪のケースでは、(自分はこれ以上頑張れないから生きている意味がない…)と考えて、その言葉をキッカケに自殺してしまうこともあるのだとか。
そして・・受験生に対しても、場合によっては気をつけないといけないと思います。
まだ先ですが、特に入試直前期の受験生に対しては、やはり気を遣ってあげる必要はあるでしょう。
■共感しつつ、具体的な援助
避難生活の人々の気持ちに共感し、具体的な物資や協力をしてあげることが、被災者たちがうれしいことで、元気の出ることです。
大変になったら、いつでも言ってくださいね。と苦労している人のセーフガードになってあげることが、頑張っている人の心の支えになります。
担当している6年生も、段々と受験生としての自覚を身につけ始めてきました。
もちろんまだまだ未熟者揃いで、ハッパも掛け続けなければいけませんが、難しい中学受験の難問を前にして、毎日のように学校に塾に通いながらも、なかなか成績を出せずに苦悩している子が多いのも事実。
多くの親御さんが望む有名中学へ合格できるのは、現実は困難を乗り切った限られたお子さんだけです。
そういった苦悩や立場も分かってあげつつ、言葉だけの応援にならないように、出来るだけ具体的なサポートができるように心がけていきたいものです。